無料が善意から生まれているという ストーリーを作る

無料が善意から生まれているというストーリーを作る

昨日は無料の対価としてポイントを取り上げましたが、内容としては少しわかりにくい解説になってしまったことを反省。

そんな折、わかりやすい事例が出てきたのでその事例を持って解説をしたいと思います。

商品を無料にするとはどういったことなのか?

以前も紹介したキングコング西野さんのBlogから お金の奴隷解放宣言。

この記事から、本人が意図してやっているかはわかりませんが、マーケティングというモノやサービスを売るという視点で考えた場合の戦術としての正しさを解説したいと思います。

それが「無料が善意から生まれているというストーリーを作る」と言う事です。

論理としては簡単で、その販売している商材の寿命というモノがあります。

今回の事例で言えば、「えんとつ町のプペル」という絵本です。

絵本の市場というのは10万部がメガヒットです。

本という商材は短期間で売ると言うのが常識であって、発売から数ヶ月でその商品寿命が尽きると言われています。

コレは毎月新刊が出ていて1つの商材である本を売ると言う事にかけられる期間というモノが限定されているからとも言えます。

考えて見ると100万部とか1000万部という数が売れている本はコミックスくらいで、ビジネス書や小説といった活字の本が数十万部、数百万部売れるというのは稀であって滅多にない希有な例と言えます。

まして、数千万部売れるなんて事はないと言っても過言ではありません。

つまり商品寿命が短いとも言えてしまうのです。

ですから、今回の西野さんの本は販売から数ヶ月、通常の販路で売るという商品のライフサイクルが終了したとも言えます。

もともと、本人のBlogでも公開している通り初版分で10,000部を自費で購入してます。

記事 【やってみたシリーズ】絵本1万冊(2000万円ぐらい)を個人で買ってみた。

こうした手法ってAmazonで本の売り上げランキングをブーストする手法としてビジネス書で確立されていて、そうした事を推奨している人たちの界隈では、Amazonチャレンジなどと言われています。

これは、同じ穴の狢のような人で予約を伸ばして初版のランキングを販売前に水増ししてAmazonで売り切れるくらい人気と言う事を演出する手法として確立されています。

通常、ビジネス書や自己啓発系の本の活字本は、初版3000部くらいだったりするので、上記の方法でそれなりのネットワークを持っていれば予約だけで売り切る事は可能でしょう。

さらにアングラなやり方をしている人などは、上記の予約を実際に販売がスタートする前にキャンセルしてしまうといった方法で、注文があったがキャンセルされたという状況を作り出している場合もあったりします。

この方法は西野さんが実際に2,000万円をかけて行った方法とは別で、西野さんはもっとフェアなやり方としてクラウドファンディングとしての予約注文とBACEというECシステムを使っていわば予約注文式の手売りを先行で行ったわけです。

商品の寿命をさらに伸ばすための施策

ここまでの経緯で、本はライフサイクルが切れて売れなくなったと言うわけではなく、告知をしても広告を打っても費用対効果で考えると、普通に広告・告知をしても売れなくなったということに他ありません。

ですから、同じ商材を売るためには少し工夫が必要になるという視点で考えたときに取るべき施策がいくつか考えられます。

  • 価格をディスカウントする
  • 商品のリニューアルをする
  • 無料にする

というような方法があります。

良く取られるのはディスカウントする。

価格を下げて手に取りやすくすると言う事で、これまで通常の価格で販売をしていた商品を値下げする事でより多くの人に手にとって貰うという機会を増やすと言う事です。

ただ、この方法は実は不誠実なやり方で、値下げ前の価格で買った人には不利益があると言う事です。

この不利益というのがポイントで、その不誠実制を薄めるために装丁を変えたり、ほんの形態自体をコストをかけてハードカバーからソフトカバーに変えるとか文庫にすると言った形で、同じ内容の本をディスカウントする事になります。

これは商品をリニューアルをするにも該当する内容にはなりますが、コストをかけての商品自体のリニューアルをするといったことは実は販売をする側としては好ましい事ではありません。

そして、手にとって貰う機会も増えるという動機が増えづらいので、既存のマーケットのパイを増やす事にもならずに、相変わらず届かない人には届かないという事になってしまいます。

今回取られたのは無料にすると言う方法

これは、商品自体を無料にして公開する事で、より多くの人の目に触れる機会を増やしたり、共有したり、知って貰うきっかけという価値を新たに生み出す事になります。

無料にしてしまうと売れなくなるというのは幻想で、実は無料という商品自体は電子版を主とする時には、その本という商材を手にしているようで実は現物を渡しているわけではないので所有しているわけではないと言う事になります。

電子版のデータというのは確かにインターネットを介して、それを「ダウンロード」して見て貰う方法とストリーミングと言った形でインターネットのサーバー上のデータを閲覧して貰う方法と、データをWebサイト化しているだけと言った場合が有り今回の「えんとつ町のプペル」はその中の方法でWebサイト化という方法をとっています。

ただ、その内容はWebサイトの形で提供しているだけなので、実際の本とは乖離があり差別化を図っています。

この差別化をすることでデザイン性などを排除してコストを削りゼロに近づける事で制作コストをなくし無料で商材を提供できるようにしていると言えます。

今回は、この方法を西野さんが生み出す経緯というモノが上記のリンクで紹介している記事で紹介されています。

その内容で小学生が2000円で買って読むことが難しだから無料にしました。

とうい事が書かれています。

これがストーリーを作ると言う事です。

制作過程やその商材を作るためのストーリーと共に、ユーザーからの声を受けて、その悩みを解決するために無料にしましたというストーリーを作っているのです。

まあ、このストーリー部分が少し稚拙で、本来は無料にすると言った場合は、本を献本して図書館などに寄贈すると共に、より広範な人に見て貰うためにWebサイトにも公開しました。

という事にまで踏み込めば、共感を得やすくなるのでしょうけど、今回ではそこをサボったのか考えが至らなかったのか、「お金」を敵のように扱いそれを揶揄して奴隷解放と言ってみるといった否定的な感情を源泉としたような言い方をしてしまったのは失敗と言えるかも知れません。

無料にすると商品はこうなる

ただ、無料と言っても、そのモノを無料にしたわけではなく、内容のデータのみを切り出して無料公開をしているだけなのです。

このデータはいつでも非公開にする事は出来ますし、公開し続けた場合でも、そのページからAmazonのリンクへ誘導しているのでそのWebページで見づらい、本や読書体験が意図して居るモノと違えば現物を購入する機会になるという、無料をきっかけとして機会想像をうまくマーケティングとして組み合わせていると言えます。

そう、この無料というのは商品自体を無料にしているわけではなく、無料のデータを公開しているわけではないので商品としての本の価値は毀損している事にはなりません。

ですから、販売を続ける事は出来るしさらには今回のそうした無料化と言う事をネタ元にWebサイトを公開して全文を掲載してその内容をさらして購入して貰う機会にしているのです。

実は、ここまでの方法とは書店に本を平積みにする行為と何ら変わりがないと言えます。

書店には平積みにして内容を確認出来るようにして購入して貰うと言うのが当たり前で、その前に立ち読みで済ませてしまう人もいるでしょうし、立ち読みやさわりを読んで購入すると言った人もいます。

つまり、今回の西野さんのBlog記事自体が販促キャンペーンの1つであって、本自体を無料にしているわけではないのです。

無料で公開したくて小学生にも手にとって貰うという目的だけなら、図書館にも献本したり小学校の図書館に寄付をしていけばいいわけですがそうしていないのはマーケティングとしての認知度向上を狙った販促のキャンペーンという風に言えるわけです。

そして、書籍のデータをWebサイトの形式で公開する事で、次の作品を公開したり販売する際に、手にとってもらい安くなる機会想像にもなっていると言う風に言えるわけです。

無料にした結果として 『えんとつ町のプペル』の完全無料にした結果…

Amazonで売り上げが伸びたと言う事ですが、これは炎上マーケティングという風に揶揄される批判を是とした形で販売を進める方法で、結果ニュースとしてYahooトピックスにも掲載されましたし、このくらいのブースト効果は見込めるでしょう。

ですから、無料と言っていることが本当は無料ではなく、世間のイメージする無料とは無償の行為だと言うことを考えると、商業=ビジネスとして考えた場合にはこれはきわめて真っ当な販促キャンペーンとも言えるでしょう。

さらに、プロジェクトを完璧にするなら、無料のメール登録をした上で見ることが出来るWebサイトと言った形やPDFのダウンロードと言った限定性を持たせるといったことも考えられますがそこまでは今回はしていません。

こうしたキャンペーンではソーシャルのアカウントを登録して貰う事で閲覧出来るという形式でもいいでしょう。

個人を特定しない形で、後からメッセージを送る事が出来るようにしておく事で、継続したコミュニケーションを取ることが出来ると言った方法がとれるのがインターネットを介したマーケティングの極意とも基本とも言えます。

実際には、こうした方法をとるときにはそれなりの配慮やシステムとして何を利用するのか?と言った問題もあります。

コレカレではそうしたシステムも用意していますし、様々なコースの提供を予定しているので、その様々なコースでこうした公開のされた方をするコースも出てくるかも知れませんね。

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